OWNER PROFILE
入川ひでと
Hideto Irikawa
1990年代に訪れたカフェブームの立役者の一人である入川ひでとさん。1999年に原宿のキャットストリートに「ワイアードカフェ(WIRED CAFE)」をオープンさせ、都心部の商業施設を次々とプロデュースしてきた輝かしい経歴を持つ。プライベートではバイク、フィッシングにサーフィンと幅広い遊びを愛する趣味人という一面を持っている。クルマにおいてもこだわりの詰まった名車を複数台所有し、ACCR(アルペンクラシックカーラリー)の会長でもある。
そんな彼と、時間を共にしてきたスタイル溢れる2台をRENDEZ-VOUS限定で掲載していただきました。
CAR MODEL
TRIUMPH TR3, FORD GRUMMAN
憧れのクルマがあるとする。そのクルマを手に入れて、「かっこいいし大満足だなあ」で終わらせてしまって果たしていいものだろうか。実態として手元にやってきた。自分のガレージに収まっている。独り占めできる、入手して達成感を覚えた。ただ、一緒に暮らせばその前、そのあと、それ以外のこともエピソードや思い出、ストーリーになっていくのだろうなと言う期待感が付随して伴うと言う話である。遠足となればどこそこへいくということと合わせて、持っていくおやつのラインナップでさえ考える楽しみがあるものだ。クルマ趣味においても同様。旧車を買った、サーキットを走ったりしている。その事実の間に、朝早起きをして、クルマの調子をちょっと見たりして、いろんな支度を整えて、今日も一日頑張って走り切ってくれよ!などと声をかけながら、積載車に積み込むなんかも、間違いなくクルマ趣味の一節にほかならない。クルマ趣味は、もっと体験できるコンテンツでいいのではないだろうか。
腕もないのに、まずは道具ばかり、そんなことを反省することはないだろうか。でもそんなことにも臆することはないと勇気づけられさえする。むしろここまでしなければならないか、と新たな負担や重く長い道のりに感じさせてくるかのよう。ただ、卑下せず、しかし妥協しない。そう言うちょっとした拘りは私たちも明日から自分の暮らしに取り入れていけそうだ。小さなことからコツコツと、全てにこだわりを持つ。大事なことではないだろうか。
男にとってコックピットはなぜか落ち着ける場所。計器でチェックしながら機械を操縦していく。うまくいくのは嬉しいもの。それは車種に限らないばかりか、クルマでなくても同様だ。タイヤが回って、ボディが動き出す以前の脈動や鼓動のようなものを感じられるからかもしれない。無機質なものではなく、極めてエモーショナルで、生物的に捉え、そして相棒として認め合う間柄になる。お金を出してもここまで到達するのには相応の時間と手間、儀式のようなものは要すると思う。
コーディネートで合わせているわけではないかもしれないが、おそらくチョイスに隙はないのではないか。なかなかこうはいかないが、写真に収めると全てが様になって佇まいと言う調和を見せてくれる。そうしなくても困らない、無論死ぬわけでもない。しかし、常に心を注ぎ、愛情を持ち、向き合うと、こうした佇まいと言う形で返事をしてくれる。趣味とはそう言うことの連続であり集大成なのかもしれない。
積載車などと言う言葉で片付けるのはもったいないほどにいい雰囲気のグラマンだが、積載車は自動車趣味にはなくてはならない存在だ。積載車はクルマを積んで運べるトラック。普通クルマを運転していると、自分が運転しているそのクルマ自体しか移動させることはできないが、積載車の場合、プラスもう一台クルマを運ぶことができるのだ。この要素、事実がまずクルマ好きにとっては大いにそそられるポイントである。そもそも、トラックに乗ってみたいと思ったことはないだろうか。男の子は、いや自分の周りも、働くクルマへ傾倒するケースは少なくない。しかし仕事が運送関係や、頻繁に移動を要する資材を扱うようなことでもない限り、なかなか働くクルマを購入することはない。でも、クルマが趣味であると言う時点で、クルマを運ぶクルマがあったらいいのだが、と言う理由づけ・口実にはなるのではないだろうか。知人の所に動かないクルマ取りにきてくれたら譲るけど、とか、自分の愛車の車検が切れてしまったが一緒に作業をして欲しいのであの工房に持ち込もう、と言った時に積載車があると言うのは、ちょっとした超科学的な力を手にしたかのような錯覚を覚えるものである。ましてそれ自体がクラシックな風情に富んだものであったとするならば。メインの愛車もさることながら、周囲のあなたを見るクルマ好きとしての認知は動かし難いものになること請け合いである。
Photo: Ryosuke Ogawa
Text: Kentaro Nakagomi
このコンビネーション、なんとも愛おしい。なんとも愛おしいが、それに目が眩んでしまったものの、実は市中を日々東奔西走するディーラーや板金修理の工場が所有するプロの積載車と比べても特筆すべき優位点がある。それはグラマンが屋根付きの積載車であるということだ。実はこれがなかなか世の中に存在しない。屋根のあるトラック指定で搬送を依頼できる高級搬送会社もある。もちろん、こうした旧車、サイズも重量もコンパクトなクルマには限るかもしれないが、愛車を運ぶのにこのサイズで事足りれば、こんなリーズナブルな買い物はないかもしれない、と言う代物なのだ。もちろん、サーキットにイベントにこれでいけば、たちまちそこがガレージになる。ちょっとした修理調整はここでできるのだから。これではまるでトライアンフが付け足しのようでかわいそうだが、そうではない。こういう船頭付きのこんなに素敵なトライアンフ、2度とお目にかかることはないだろうから。
TRIUMPH TR3
-
メーカー
TRIUMPH
車種 / グレード
TR3
年式
1960年
エンジン
2200cc
走行距離
-km
ミッション
MT
ハンドル
右
車検有効期限
エリア
神奈川県
カスタム / 整備詳細
TR-4初期型のエンジンを積んでいるレアモデル
カフェレーサー仕様にカスタマイズ、オリジナルの部品等は全て保管
エンジンミッションは2021年初めにオーバーホール済み
全整備履歴あり
純正ホイールキャップあり
FORD GRUMMAN
-
メーカー
FORD
車種 / グレード
GRUMMAN
年式
1988年
エンジン
7200cc
走行距離
-km
ミッション
AT
ハンドル
左
車検有効期限
エリア
神奈川
カスタム / 整備詳細
エンジンをシボレーV8/7.2リッターエンジンに3速ATに載せ替え
ウインチ付き